どうぶつは たくさんの贈り物を 運んでくれます。それは 心が愛で溢れる 最高の「おみやげ」です。 女優・杉本彩

ある年の春うららかな日、桜満開の散歩の途中で、体が不自由な猫のサクラと出逢いました。
桜の咲く頃にやって来たからサクラと名付けたのです。
お気に入りの場所も、名前のとおり、窓辺の桜がよく見える場所でした。

自分の境遇にも負けず、サクラの生きようとする気持ちはとても力強く、
車イスに乗ってご飯を食べる姿には、たくましささえ溢れていました。
そんなある日、名前のとおり桜が咲く季節に、突然サクラとのお別れはやってきました。
でも、サクラはたくさんの「おみやげ」を残してくれたのです。
サクラにもらった「おみやげ」とは…?

女優・杉本彩さんのあたたかな実体験の世界を、
イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選作家の「山口哲司」さん
独特の牧歌的タッチのイラストで描かれた癒やしの絵本です。

また「サクラからの最高の贈り物を、この絵本を通じて子どもたちにも伝えたい」という杉本彩さんの想いが詰まったストーリーと相まって、
生命と向き合うとは何かを改めて教えてくれる最高の1冊でもあります。

ねこのサクラ
ねこのおみやげ書影

ねこのおみやげ
〜サクラというねこのお話し〜

原作:杉本 彩
作・絵:山口 哲司

AB判・上製・44ページ・フルカラー
定価:1980円(税込)
ISBN :978-4-907108-61-8 C8771
2020年6月下旬刊行予定

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杉本彩

原作 杉本彩

女優、公益財団法人動物環境・福祉協会Eva 理事長、特定非営利活動法人全日本車いすダンスネットワーク特別理事、化粧品ブランド「リベラータ」プロデューサー、株式会社ビメンド取締役社長、京都動物愛護センター名誉センター長、おおさかワンニャン特別大使。
2019年12月、エッセイ『動物が教えてくれた 愛のある暮らし』(出版ワークス)を出版。

作・絵 山口哲司

1972年大阪生まれ。風合いのある綿麻の布に手描き染めした作品を制作。身近な自然や命をテーマに、日本の季節や文化などの要素を加え、花鳥画、風景画、縁起物、風物詩などの作品を描く。海外のアートショーや企画展などにも出典し、人気を得る。
2013年 イタリア・ボローニャ国際絵本原画展入選。
2019年6月 デビュー作『ねこになりたい』、同年12月『ふきだしくん』(出版ワークス)を出版。
猫とお酒が好き。

 この絵本のモチーフになった私の愛猫サクラは2014年ねん、お星さまになりました。
行政の動物愛護センターで出逢い、サクラが我が家の一員になって、一緒に過ごした2年半の年月は、私にとって本当にかけがえのない経験でした。

 実は、サクラは、エイズキャリアで小脳に障がいがあり、そのため四肢が動かず、寝たきりの状態の猫だったのです。
さらに、保護してからも時が経つにつれ、寝返りをうつことも、自力で排泄することもできなくなり、体からからどんどん、自由が奪われていきました。
それでも、サクラの生きようとする気持ちは、とても力強く、車イスに乗ってご飯を食べる姿には、たくましさが溢れていました。

でも…ある日、突然お別れの日はやってきました。
いつものように、もりもりとご飯を食べたあと、優しい光の入る、暖かいリビングの窓際の車イスの上で、すやすやとお昼寝しながら、サクラは天国に召されていったのです。

 言葉を持たない動物のお世話。
ましてや、動くことのできない、障がいのある動物の介護は本当に大変です。
それは、日々、反省と学びの繰り返しでした。
あらためて、「生きるとは何か」「幸せとは何か」について、とても深く考え、体感できる機会を得ることができたと思っています。

 そして「サクラが教えてくれたこと」とは・・・
「思いやり」は、他人の痛みや苦しみ、心のうちを、自分のことのように、感じられる心が必要だということです。それが本当の「思いやり」なのだと教えられました。
これが、サクラからの最高の贈り物であり、今も、私の宝物になっています。

 最後になりましたが、尊いサクラとの思い出を、素敵な絵本にしてくださいました出版ワークスの工藤代表と編集スタッフの皆さま方、そして心温まる創作をしてくださいました絵本作家の山口哲司様には、心より感謝申し上げます。

杉本彩サイン